新聞が西暦を表に出すようになったのはそう古いことではないが、それは一般の人が西暦で年をいうのが多くなったのを反映するのであろう。
しばしば氏名にフリガナをつけさせられる。
なぜ自分の名前にフリガナをつけるのか、考える人もいないが、ついていないと読めない名が多いからだ。
それも、「フリガナをつけよ」となっていたり、「ふりがなをつけよ」となっていて、一定していない。
「ふりがな」と指定してあれば、ひらがなでふりがなをつけるべきだろうが、カタカナ主義の人はかまわずカタカナにする。
しかし、男の子にかなの名前をつけようという親はすぐない(将来、わが子を政治家にしようと思う親は、一郎とか太郎といったふりがなのいらない名をつけるのだ)。
あるとき、二人が世相について雑談していた。
「このごろコウエンヘ行く人がふえましたね」「そうですね」「女の人が多いのではありませんか」「そうですかね、とくに気がつきませんが」「いや、女性のほうが多いですよ、はっきり」「そうでしょうか」「ことに夜は断然、女の人が多いですよ」「夜、コウエンにいきますか、女の人が…」「どうも、お互い、ちがうコウエンを考えているようですね。
これは失礼しました」一方のコウエンは講演、他方のコウエンは公園だった。
これでは混線するのは当たり前である。
講演だったら「講演をききに行く人がふえました」といわないといけないのである。
日本のことばは、書くのと話すのが、別ものであった。
明治になってヨーロッパ、アメリカのことばを知って、向こうでは、話すように書き、書くように話している。
言文一致。
わが日本語は、言文二途で、ダブル・スタンダードである。
よろしく改めるべし、というので明治二十二、三年ごろから言文一致運動がおこり、やがては、一致したように思いこんだ。
いまの日本語の建前は言文一致ということになっているが、話すことばどおりに書かれていないし、書くように話す人はいない。
先年、南米のある国から、日本学(ジャパノロジスト)の国際会議に出席した研究者がいる。
この人は独学で日本語を学び、自由に本も読めたが、日本へ来るのははじめてだった。
研究発表をするので、原稿をつくってもってきた。
会場でほかの発表者の研究をきいていると、みながみな「です」「ます」という話しことばを使っていて、びっくり仰天する。
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